ピアノレッスン
「本日はキーマンをベースにしたブレンドティーでございます」


「あ、ありがと・・・」

そう言いながら受け取った紅茶はふんわりととても良い香りがする。

一口に含むと、不思議と頭がすっきりとした。

「昨日は・・・とても可愛らしゅうございましたよ、お嬢様」

その言葉に驚いてカップを下ろすと、秋月の白い手袋が私の頬に触れる。

反射的に避けるように身体を反らすと、秋月はくすりと笑って手を引っ込めた。



「そんなに怖がらずとも取って食いは致しません」


白い手袋から視線をたどり、秋月の顔を見ると珍しく口元が上がっている。





秋月が、笑ってる・・・?





でも、その微笑みは私の体をぞくりと震えあがらせた。
< 16 / 75 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop