ピアノレッスン
そのまま私の首筋に秋月の唇が触れた瞬間、バンというすさまじい音とともに扉が開いた。

秋月はすっと身体を離し、自分の後ろに私を隠した。






秋月・・・・?





「亜澄に何をしていた」

現れたのは留学中のはずの、浩也。

義理とはいえ、私の弟だった。

中学3年にあがる前に米国留学をしてしまった浩也と会うのは約3年ぶりだ。

今は18歳になった弟は急に背が伸び、たくましくなっていた。



「ただお話を・・・」

秋月は私を庇う手をそのままに浩也に向かって答えた。

私はいつの間にか秋月の燕尾服の裾をぎゅーっと掴んでしまっている。

自分でも気づかないくらい、つめが食い込むほどに強く握り締めていた。



またいじめられるのではないか



そう思ったからだ。
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