ピアノレッスン
「・・・」
少し考えたけど、ピアノは大好き。
失恋の胸の痛みはピアノを弾いて紛らわせようと思う。
お兄ちゃんがほめてくれるから、そうしてずっと練習してきたピアノ。
おかげで私は音大へと進学することができた。
「・・・ううん、受ける」
背筋を伸ばしてそう答えると、秋月はかしこまりましたと腰を折り曲げ部屋を出て行った。
目の前に置かれた紅茶はすでに温くなっていた。
食欲がないとランチを断ったら、アフターヌーンティを用意された。
いつもだったら、大喜びするはずの3段重ねのスイーツも
なぜか手に取る気が起きない。
大好きな綺麗なピンク色をしたフランボワーズのマカロンも
以前一口食べて大騒ぎしたほどのチョコレートケーキも
なぜかおいしそうに見えない。