ピアノレッスン
「ねえ、秋月」

「なんでしょうか」


グラスに水を注ぎながら、秋月は答えた。


「しばらく、二人きりなら一緒に食事にしましょう?」


だって、一人でなんて寂しすぎる。

今までは広いテーブルに父も母も兄も皆揃って食事をしていたから・・・



なかなか返事をしない秋月を見上げると、再び仕方なさそうな顔でキッチンへと入っていった。

そして、自分の分をテーブルに置くと私の向かい側に座った。


「・・・いただきます」

おいしそうな湯気をたてているパスタはクリームとトマトが混ざり合い、ほんのりサーモンピンクに染まっている。

少しずつ口に運びながら、黙って食事をしている秋月を見るととても優雅な手つきでパスタを口に運んでいた。

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