ピアノレッスン






「めし、できてるから来いよ」




私のひどい顔を一瞬だけ見ると、秋月は無理やり私の手を引っ張った。

背の高い秋月は歩くのも早い。

慌てて足を動かすと、お腹に激痛が走った。


「いった・・・」


思わずお腹を押さえた私を秋月が振り返る。


「・・・」


一瞬面倒くさそうな顔をしたものの、その次の瞬間、秋月は私を軽々と抱き上げた。


「・・・ちょ、ちょっと・・・おろして」

そう言ってみても、その腕が緩むことはなく、結局1階のリビングにあるソファーの上におろされた。


「ちょっ・・・秋月・・・っ」


おろした途端、背を向ける秋月を追いかけようと立ち上がる。

「・・っ」

再び襲った激痛に私は顔をしかめた。


「そこ、座ってろ」

ご主人様は俺だといわんばかりの表情でソファーを指差される。


私はあまりの痛さに抵抗する気力を失って、へなへなとソファーに倒れこんだ。
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