ピアノレッスン
「冷めるだろ」


ぶっきらぼうだけど、渡されたマグカップにはあったかいココアが湯気をたてていて

思わず、その甘い香りを胸いっぱいに吸い込んだ。

秋月の隣に座り、一口二口とココアを口に含むけれど、秋月はなかなか話始めない。

だけど、早くと急かして今のこの雰囲気を壊したくはない。



なんだかとっても平和・・・

って、本当は平和なんかじゃないんだけど・・・



気がつけば秋月が隣にいても、何も感じなくなってる。

あ、それは悪い意味じゃなくて、いい意味で・・・

隣にいるのが当たり前っていうか・・・



「亜澄」


そう思っているとようやくコーヒーを飲み終えた秋月がカップをラグの上におろして言った。


「・・・・俺のこと嫌いか?」



突然の質問に、何をどう答えていいのか戸惑う。
< 47 / 75 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop