ピアノレッスン
「・・・なんて、嫌いだよな」

そう言いながら笑う秋月の横顔はなぜか寂しそうで・・・

「き、嫌い・・・ってわけじゃない、けど・・・」

と思わず歯切れの悪い返事をしてしまった。




・・・じゃあ、好き?


って聞かれたらどうすんの。


自分で自分に突っ込みながら、ココアを口に運んでごまかす。


「・・・いい。無理しなくても」


そう言って、もう冷めてしまったコーヒーを口にした。

「ここはな・・・俺の家だ」




え?



「母と二人きりで暮らしていた家なんだ」




お母さんと・・・二人?



突然知る秋月のプライベートに、私は思わず息を呑んだ。
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