ピアノレッスン
暖炉のせいだと言い訳してもバレてしまうかな

さっきから、ドキドキと激しい胸の鼓動はどうやって隠そう。



「で、でも・・・なんで私が追い出される話に・・?」


私は慌てて話題を変えた。


「それは・・・お前がいくら血は繋がっていないと言えど、兄弟同士の恋愛はあの家ではタブーなんだろ」

私もそれは理解していたはず。

だけど、少しだけ胸が痛んだ。


「・・・お前はどうしたい?」


うつむいていると、不意にあごをぐいっと持ち上げられた。

まっすぐに見つめてくる秋月は昨日のような強い瞳ではなかった。

ゆらゆらと暖炉の炎が揺らめき、今にも涙が零れ落ちそうだった。


「自ら八木澤の家を出るか、俺と・・・」


俺と・・・?

その続きは秋月の腕の中で聞いた。

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