彼女志願!
「たまにはほづみん以外の男にも目を向けてみたらいいのに」
「それは無理」
穂積さんと付き合えるなんて恐れ多くて考えたこともないけれど、だからってほかの誰かで手を打とうとも思わない。
「あ~あ。ほづみんも罪な男だ……」
アキは軽くため息をついたあと、ふと、何かを思いついたように表情を明るくした。
「じゃあさ、今度のパーティー、あたしと一緒に行かない?」
「パーティー?」
「御大(おんたい)のシリーズ累計1000万部パーティーよ。あたしも呼ばれてるの」
「へぇ……すごーい……」
御大こと白鳥紫子(しらとりゆかりこ)先生は、翡翠社から出ている少女レーベル、キャンディー文庫の大ベストセラー作家。
1000万部って、万年初版作家の私からしたら、もはや雲の上過ぎて意味不明なんだけど。