彼女志願!
「ところで穂積さん、学校の先生に向いてるって言われませんでしたか?」
「学生の頃、進学塾で講師をしていました。就職を機にやめましたが」
「へぇ……やっぱり。なにを教えてたんですか?」
「中学生相手に、五教科を」
「やっぱり、モテましたよね?」
「――」
私の言葉に、こいつは何を言ってるんだといわんばかりに眉根を寄せる穂積さん。
あ……アホだって思われてそう。
「ごめんなさい、だって、すっごくモテそうだなーって……」
知的眼鏡男子っていうのかな。
きっと学生時代の穂積さんも、すてきだったに決まってる。
同級生の男の子なんて子供っぽいと思ってる女子からしたら、大学生の穂積さんなんて、もう、国宝級のすてき男子に違いないんだから。
その頃、穂積さんに勉強を教えてもらっていた女の子たちがうらやましくて仕方ない。