彼女志願!
上半身を起こすと、
「たまごがゆを作ったので、召し上がってください」
と、穂積さん。
そしてすっくと立ち上がると、私の隣に腰を下ろし、ローテーブルの上に置いたトレイを自分の膝の上に乗せる。
「どうぞ」
彼はレンゲでおかゆをすくい、私の口元に運ぶ。
ふんわりとお米の甘い香りがして、食欲をくすぐった。
いつの間に……
でも――
「えっと……自分で、食べられます……。あの、それに穂積さん、お仕事行かないとまずくないですか?」
穂積さんは私以外にもたくさんの作家を抱える編集者だ。
私におかゆを食べさせる時間なんてなさそうなんだけど……。