彼女志願!

だから――

一瞬耳を疑ったんだ。







『――今日、泊まりに行きます』



穂積さんから、そんな電話があったのは、ぼんやりと新作のプロットを作っていたある日の夕方。


泊まりに行くという言葉を何度も胸の中で反芻して。

頭が真っ白になる。



だけどそんなそぶりを悟られないよう、平静を装う私。



「なにか食べたいものはありますか?」

『いえ。それよりもまず寝たいですね……なにも考えずに、ゆっくり。じゃあまた』

「は、はいっ……」




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