彼女志願!

全身の血がごうごうと音を立てて流れているのがわかる。



落ち着け……

落ち着くのよ、萌……。

こんなのいつものことじゃない。


本気で腹を立てても仕方ない。

どうせこの先わかりあえることなんか、ないんだから……!




「毎年のことだけど、荒れてるねぇ……」



ソファーで雑誌をめくっていたアキと、彼氏のツトム君が、仁王像と化した私を見て、肩をすくめる。



「はぁ、はぁ、はぁ……ご、ごめん、人様のおうちで、大声、出してっ……」




< 292 / 648 >

この作品をシェア

pagetop