彼女志願!
それからしばらくして、穂積さんがマンションの下に来たという連絡があった。
オートロックを開け、玄関のドアのロックを開けてドアを開くと
廊下の奥から穂積さんが歩いてくる姿が見える。
時計を見ると22時過ぎ。
こんな時間でも、一糸乱れぬブラックのストライプのスーツに眼鏡。
手には原稿が入っているっぽい封筒を抱えている。
編集さんって割にカジュアルっていうか、奇抜な格好というか、ラフな人も多いのに、穂積さんはいつもスーツ。
噂じゃ御大が「穂積はスーツ着用!」って命じているとか、いないとか……。
私がわかる、というのもおこがましいけれど、穂積さんは確かにスーツが似合う。
だけどたまには、ラフな姿も見てみたいな、なんて思ったり。
そんな機会、一生ないだろうけど。