彼女志願!
「わざわざありがとうございます」
玄関先、穂積さんから初稿を受け取って、頭を下げる。
「初稿はついでです」
「ついで?」
「今日の、先生のお願いについて、お話がしたく」
「――!!!!!」
驚いた猫みたいに、全身の毛穴がぶわっと開いて。総毛立つ。
「あ、あっ、あのっ……」
目の前が、真っ暗になったり、真っ白になったり、真っ赤になる。
「立ち話も何なので、中に入れていただけますか?」
「はい、はい、どうぞ!」
油が回ってないロボットみたく、私はギクシャクと固い動きで穂積さんを部屋の中へと招き入れた。