彼女志願!
「――でね、萌。ほら、小学生のときの○×君、いるでしょ?」
「へぇ……」
「今度会社のお金でアメリカに留学するんだって。優秀なんでしょうねぇ~」
「ふぅん……」
リビングの風景は私が出て行ってからも、なにも変わらなかった。
お母さんの微妙なセンスの手作りトールなんちゃら、とか、ハワイアンキルトとか。謎の針金人形とか。
好奇心旺盛ではあるけれど飽きっぽい母は、趣味をころころと変えて、家の中をおかしなふうに飾りたてる。
「――」
話があると言っておきながら、怖い顔をしてお茶を飲むだけのお父さん。
なんなのよ、いったい……。