彼女志願!
「お母さん。私、東京でもう何年も一人暮らししてるんだよ。自分で自分のことごはん食べさせられてるの。収入だってあるし、税金だって払ってる」
「だけど、小説家なんて、一生やっていけるわけじゃないでしょうに」
「お父さんが紹介してくれる会社だって、一生働けるかどうかわからないじゃない」
「また、萌はそうやって屁理屈を言って……会社はあくまでもきっかけっていうかね。そこですてきな人を見つけて、結婚すればいいじゃない」
「――なんなの、それ……そうやって、私の人生を勝手に決めるのやめてよ……」
これ以上ここにいたら息が詰まりそうだった。
椅子から立ち上がって、バッグを持つ。
「萌っ、話は終わってないのよっ?」
「私はもう話したくない。少し放っておいて。だますような形で帰省させたくらいなんだから、私の部屋まだあるんでしょ?」