彼女志願!
「まぁっ……だますだなんて! お父さん、聞いた? 本当にもうあの子ったら――」
「――」
プリプリと文句をいう母と、それを黙って聞く父を振り切って、二階への階段を駆け上がる。
ああ、もう、疲れた……。
部屋のドアを開け、バッグを床に放り投げ、ベッドにダイブする。
次の瞬間、ハッと思い出して、本棚の隙間に隠してあった突っ張り棒をドアに当てた。
なんだか懐かしい……。
学生のころは、よくこうやってつっぱり棒して小説書いてたんだよね……。
思わず、笑みがこぼれる。
「これでよし……っと。はぁ……」