彼女志願!
「お母さんは私のこと恥ずかしいんだって。お父さんも、そうなんでしょ……? もう、わかったから。充分わからされたからさ……。
これだけダメージ与えてくれたんだから、もう、充分だよ……出て行く。もう二度と帰らないっ……こんな家、大嫌いだ……!」
「――お前っ……」
お父さんが真っ赤な顔をして口をパクパクさせている。
「萌、待って。落ち着いて」
下のお姉ちゃんが、おそるおそる近づいてくる。
「お父さんとお母さんも悪気があったわけじゃないのよ、ほら、それよりも萌、手、破片で怪我してるから……」
怪我……?
言われてズキズキする手のひらを見れば、割れたカップの破片で切ったのか、血がぶわーっと吹き出していた。
けれど頭は
昂奮しすぎて一周周ってきたのか、妙に冷静で。
ぎゅっとこぶしをにぎる。