彼女志願!
「わかった。すぐに行く」
穂積さんは軽くうなずき、テーブルの上の資料や手帳をさっとまとめる。
えっ……。
「それでは凛先生、お疲れ様でした。気を付けてお帰りください」
スーツ姿の彼は、ついっと中指でセルフレームの眼鏡を押し上げ立ち上がると、部屋を出て行った。
ああ……また誘えなかった……!
穂積さん……。
敏腕編集者だもんね。忙しいんだろうな。
わかっているけれど、今日こそはと思っていた分、気分が落ち込む。
なんか泣きそ……。