彼女志願!
「――覚えてますか? 彼女にしてほしいって言った私に……自分が思うような自分じゃなくても、それでも彼女になりたいのかって、聞いたこと」
「ええ、もちろん覚えてますよ」
あの時から、私の恋は大きく動き出した。
「今もあの頃の気持ちは変わりません。穂積さんのことをもっと知りたい。おこがましいかもしれないけれど、理解したい。きれいなところも、そうでないところも……」
「もっと知りたい?」
「はい」
力強くうなずき、彼の背中に回した腕に力を込めた。
「――その好奇心の強さは……やはり作家ですね。因果な商売です」
どこか仕方ない、と言った風情で穂積さんは苦笑し、私の頭をぽんぽんと叩く。