彼女志願!

彼の手が

唇が

大事な宝物みたいに、私に触れる。



「俺を愛して……」



他愛もない、恋人同士の触れ合いの中

穂積さんはふと、聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声でささやく。



そんなことを言う穂積さんが愛おしくて

彼の体を夢中で抱き寄せる。



「私もです……私も……」



そして穂積さんもまた、私に抱きしめられるために

ゆっくりと重心を移動させる。



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