彼女志願!
もちろん私だって、一方的に「知りたい、知りたい」と騒いでいるわけじゃない。
人には大なり小なり、秘密があるものだ。
「だけど、水臭いって思っちゃうの。あの鉄の男の穂積さんが、思い悩むことって相当でしょ? 少しくらい私にも関わらせてよって、思っちゃうの」
「萌の気持ちもわかるよ。恋人同士なんだからね」
アキは赤ペンをくるくると回しながら、私の言葉にあいづちをうってくれる。
自分の胸にうずまく不安を聞いてもらえるだけで、重たい気持ちが少しだけ軽くなる。
要するに私は、穂積さんとこういう時間を持ちたいと思っているのかもしれない。
ただ、可愛いとか愛してるとかだけじゃなくて
心を許しているのは萌だけと言ってくれた穂積さんに、そういう態度をとってもらいたいのかもしれない。