彼女志願!
「おいしそうです。萌、いつもありがとう」
シャワーから出た穂積さんは、テーブルの上の料理を見て、にっこりと笑う。
いつもありがとう、だって。やっぱり穂積さんは優しい。
けれどこんなことをさらりと言ってくれるのに、肝心なことは言ってくれないんだもの。
今日は絶対に、吐かせてやるんだから……!
強い意気込みを胸にかかえ、私は穂積さんの隣に腰を下ろす。
「冷酒、アキから貰ったんです。あそこのカップル、冷酒飲めないらしくって」
「そうなんですか。じゃあ、萌も一緒にどうですか?」
「えっ?」
私の今日の作戦は、穂積さんを酔わせてお悩みを白状させるっていうのが目的だったんだけど。
私が酔ってしまっては、話にならない。