彼女志願!

にしても、アキってやっぱり鋭いなぁ。

あまり考え込まないようにしないと……。



「美容院、明後日だけど予約した?」

「うん」

「なにを着ていくの?」

「――えっと……」



食器を片づけ、お茶の用意をしてくれているアキに問われて、クローゼットからクリーニングの袋に入ったままのワンピースを出して見せる。



「これ」

「えええ~!!! 葬式かよ~!!!」

「えっ、なんでわかるの?」



私が彼女に見せたのは、高校を卒業した後、ちょうどおじいちゃんのお葬式があって、冠婚葬祭用に買ったブラックスーツ。

一枚あればどこでも使えますよと言われて買った一品だった。



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