彼女志願!
いったいなんなのよ、穂積さんの母方の実家……
不思議に思いつつも
作家欲というかなんというか
どんな家で、どんな歴史があるんだろうと、ほんの少しばかり興味が湧くことは否定できない。
ごめんなさい、穂積さん……。
心の中で謝りつつ、けれど彼がこんなことを私に話してくれた一つの可能性を思いついて、私の方に頭を寄せている穂積さんの頭を、そっと撫でる。
「で、穂積さんは……どうされるんですか?」
「もちろん継ぐ気はありません。仕事も辞めるつもりはありませんしね。ですが祖母の容体があまりよくなくて……それでしょっちゅう呼び戻されましてね」
穂積さんはまるで流木にしがみつく溺れる人のように
しっかりと私の体に腕を回す。