彼女志願!

「もういいんです。次に帰ってこいと言われても、帰りませんから」



やっぱり……

だから私に話してくれる気になったんだ。


帰らない、ときっぱりと告げる穂積さんの決意を理解して、私はこっくりと、無言でうなずく。



「夏休み、二人でどこか旅行にでもいきましょう。海外がいいな。モルジブでもボラボラ島でも、とにかく二人でゆっくり出来るところがいい」



さらに穂積さんは夢を語るかのように、そんなことをささやく。



「穂積さん……」

「有給も使ったことがありませんからね。たくさん余ってるんです。たまには使えと総務から連絡もあったことですし、パーッと使ってどこかに行きましょう」

「そうですね、行きましょう!」



私は穂積さんと一緒なら、どこでもいいけど。

心が疲れている穂積さんを元気にできるのなら、彼の望みはなんでもかなえてあげたい。




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