彼女志願!
穂積さんから、帰省前に「念のため」ということで住所だけは教えてもらっていた。
まさかこうやって直接おしかけることになるなんて、想像もしてなかったけれど……。
「じゃあ、行ってくるから」
固い決意を胸にぐっとこぶしを握る私。
「横溝正史みたいな島だったらどうする~?」
「えええ……! 怖いこと言わないでよ!」
きゃっきゃとはしゃぐアキとツトム君をいさめるけれど、それって私もちょっと考えていたことなのよね。
瀬戸内の島、地主……
祖母の死によってもたらされる莫大な遺産
――って!