彼女志願!

「あの……」

「ほら、運転手さん行くのか行かないのか困ってんじゃん。早く早く」



彼は私の荷物をひょいと持ち上げるとトランクの後ろに積み、自分の荷物も図々しく押し込み、閉める。



「あの、私っ……」

「いいじゃん、行き先一緒なんだからけちけちすんなって。旅の情けは世の情け~♪」



それを言うなら『旅は道連れ世は情け』だ。


と思ったけれど、基本男性にてきぱきモノを言えない私は、黙ることしかできず、結局押し切られるように彼の同乗を許してしまっていた。




「神楽島ね~。船は次ので最後だよたぶん」



そして親切に教えてくれた運転手さんに


「だよね! じゃあ間に合わせて!」


なんて無茶ブリまでする。



なんだこいつーー!!!!!



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