彼女志願!
いつもの私なら小さな物音くらい気にせず寝てしまうところなんだけど。
枕が違うからか、やっぱり眠りが浅かったみたいだ。
古い木の廊下をギシギシと近づいてくる足音。
お布団から起き上がって、豆電球をつける。
「――ユズさん……?」
目をこすりながら障子の向こうに声を掛けると、その足音がぴたっと止まる。
ん……?
「なにかありましたか?」
さらに畳みかけるように声を掛けると、近づいて来ていたはずの足音が、遠くなっていく。