彼女志願!
穂積さんの言葉でピリッと空気が引き締まる。
「ユズキ。座りなさい」
穂積さんは、ユズさんを「ユズキ」と読んだ。
そっか……ユズさんはユズキさんなんだ。
なんてぼんやり思いながらも、おそらく年下であろう穂積さんが、彼女を呼び捨てにすること。
ニーナも同じように呼び捨てなのに、妙に胸に引っかかった。
「でもっ……こんな空気が悪い所になんかいたくないっ……!」
プイっと顔をそむける彼女に、穂積さんは子供に言い聞かせるようにささやいた。
「ユズキ。あなたも本当は気になっているんじゃないんですか?」
「――」
「僕は気になってますよ」