彼女志願!
「僕の淫蕩な血はこの島で培われたものです。この、人を人とも思わない性質も、ずる賢い処世術も全て、自分を守るためとはいえ……」
穂積さんはどこか遠い目をしてそうささやくと……きゅっと唇を結ぶ。
そして決心したように、弁護士さんに目を向け、初めて立ち上がった。
「静かに!」
彼の朗々とした声は、まるでよく訓練された舞台役者の声のように、広間に響き渡る。
「新見家祭司、当主の采配は、孫である私、穂積真一に与えられました!
遺言書に異議申し立てがあるものは、名乗り出なさい!」
彼の迫力に押さえれて、騒々しかった広間は徐々に落ち着きを取り戻し――
結局異議申し立てを名乗り出てくるものは、いなかった。