彼女志願!
永遠に暴かれない真実
翌朝早く、一番の船(というか当主権限で早く出させた)で島を出た。
船がどんとん島から距離をとり、離れていくのを眺めているだけで不思議な気分になったけど。
駅に着くといよいよ、あの島であったことは『どこか違う世界のお話』だったんじゃないかって、そんなふうに感じた。
穂積さんも色気全開の着流しからスーツに着替えちゃったし。
慌ただしく出てきたこともあって、まだ気持ちが落ち着かない。
「だけど……誰にも言わないで出て来たけど、いいんですか……? ニーナとか、ユズさんとか……挨拶したほうがよかったんじゃ?」
隣に立つ穂積さんを見上げると。
「いいんですよ」
穂積さんは無表情でうなずいて、腕時計に目を落とし、列車の時間を確認している。