彼女志願!
「初めまして。翡翠社の穂積真一と申します」
緊張してスタバに行った私は
すらりと背が高く、眼鏡をかけ、どこか威圧的にも見える黒いスーツ姿の穂積さんに、さらに緊張して。
差し出された名刺をギクシャク受け取るときに、頼んだソイラテを豪快にひっくり返してしまった。
思い出すと、四年たっても私って何も変わってないんだと情けなくなるけれど……。
だけど
「緊張しないでください」
穂積さんは半泣きになりながら頭を下げる私に、新しいソイラテを買ってくれて。
「一緒にがんばりましょう。僕は先生の小説、本当に面白いと思います」
それまで誰にも見せたことのなかったお話を面白いと言ってくれた彼に
一緒に頑張りましょうと優しげに笑った彼に
私は一瞬で恋に落ちたんだ――。