彼女志願!

「めっちゃくちゃ怒ってたよね……? 穂積さんが首になったりとか、処分されたりとか、しないの?」

「まっさかー」



アキはゆるゆると首を横に振る。



「ああやってほづみんをいじめて、愛情計ってるんでしょ」

「愛情を計るって……」

「ほづみんはあれが仕事だから絶対に切れたりしないけど、御大はそこんとこごっちゃになってると見た」

「ごっちゃになってるってことは、先生は穂積さんのことを男として好きってこと?」

「まぁもちろん大のお気に入りであることは間違いないわよね」



そしてアキは、さらに声を潜めて私の耳元でささやく。



「ほづみんに近づく女は、ことごとく排除してるらしいから。気をつけなさいよ?」

「排除……」

「まぁ、お茶に誘うだけで四年もかかってるあんたなんか、御大からしたら眼中にないと思うけど」



ケラケラ笑うアキ。


だけど私は笑えなかった。


もしかして私、大変な人を好きになっちゃった……?



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