ガルドラ龍神伝―外伝章―
プロローグ
ここガルドラには、太古の昔から伝わる≪闇龍アルエス≫が、それぞれの住処を持つ十属性の龍魔族達を苦しめていた。


彼は魔道族の領主、キアの体を乗っ取り、魔界中を支配しようと企んだ。


が、砂龍族の王女リタとその仲間達の活躍により、アルエスは滅び、ガルドラの全魔族達は笑顔を取り戻した。


そして数週間後――


リタは、長旅と日頃の公務の疲れをとるために、昼寝をしていた。


その時、ドアの向こうから、彼女を呼ぶ声が聞こえた。


「ジオ、何の用だい?


手短に頼むよ」


彼女の頼み事を遮り、ジオは話を進める。


最初は楽しかったものの、途中でリタは、自分の乳母であるジオを疑った。


(この魔族、本当にジオか?


おかしい……。本当の彼女なら、私達父娘の話を簡単に遮らないはずだ)


リタは乳母を疑うあまり、彼女の顎にセイント・ウェポンをつきつけた。


「お前、ジオじゃないな。


本物の彼女はどこにいる? 答えろ!」


リタの声に反応するように、偽物のジオは急に、ふふふと笑う。


「流石だね。


お姫様、あんたにだけ、特別に正体を明かしてあげるよ」


そう言いながら偽物は、自ら変装を解く。


「僕の名前はリゲル。


人間界ゼテロイドから来た、人間さ」


そう言うと少年は、リタの前から立ち去ろうとする。


ふと、彼はまたリタの方を向き、


「お姫様、あんたの乳母――ジオはこの≪砂属性メダル≫に封印したから。


取り返したかったら、ゼテロイドにおいで」


と言って、今度こそ彼女の前から立ち去る。


(さっきの男の子――リゲルと言ったか。


ジオを捕えるなんて)


リタは不安になり、部屋を出て、下から国民達を眺める。


その時、彼女は恐ろしい光景を目の当たりにした。


なんと、国民全員が、石像に変えられていたのだ。


(酷い。一体、誰がこんなことを。とにかく、謁見の間に行ってみよう。父上なら、何か知ってるかもしれない。このままでは、国民達が危ない!)
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