ガルドラ龍神伝―外伝章―
それから、一時間が経過した時――


下の方から、大きな音がした。


それに気づいた二人は、ベッドから降りて下の様子を見る。


そこには、あの執事の姿も見える。


「あの砂龍族の娘、なかなか使えそうではないか。


これなら、ディサオン男爵も喜んで下さろう。


早速、男爵様の部屋に行き、新しい下僕を歓迎する準備をしよう」


なぜか服を着替えている執事の独り言を聴いた二人は、唖然とした。


『やばいな、リタの言うことは本当だった。


あの執事もこの館の主人も、魔族だったのか』


『ああ、早く行こう』


(ロータスが彼女をからからと笑うから、罰が当たった。


今日の俺達って、運が悪い)


二人はリタを起こさずに、執事を追いかけて下に降りた。


「なあ、ロータス。


俺、ちょっと思ったんだけど、リタを起こさなくて良かったのか?」


「あの女砂龍は放っておけよ。


むしろ、起こさない方が得策さ」


「得策? なんで、そう言い切れるんだよ?」


「馬鹿だな。あの執事の言動を考えろよ。


あいつは、彼女を男爵の下僕にしたがってる。


俺達だけで、男爵と話をしてくるっていう作戦さ」


「ロータス……」


(馬鹿って言うな!


俺だって、真剣に彼女のことを考えてるのに)
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