ガルドラ龍神伝―外伝章―
グラナダが首を傾げていた時、ロータスはふと、扉の隅の小さな文字に注目する。彼は、これが扉を開く暗号なんだな、と思った。
『こさたのはとらなびらに、はかのじなてゅもなんをとかなかえよ』。――扉には、平仮名ばかりが羅列してある。
「うーん、何だろう、この平仮名だらけの暗号は。俺にはさっぱりだ」
「……」
グラナダは、手探りで暗号を解こうとする。その瞬間、彼はある重大なヒントを見出した。
「ロータス。俺、この暗号が解けたぜ」
「何! 本当か? 早速、俺に教えてくれよ」
ロータスは、期待の眼差しでグラナダを見る。
「わかった、急かすな。これは《取り決め》って寸法だ」
「取り決め? 要らない文字をどんどん消していくのか?」
「そうさ。早速読むぜ。よく聞いとけよ。『……って、書いてあるんだ』」
グラナダは声を極端に小さくし、ロータスの耳元で言った。
「そうか。つまり、俺の出番ってことだな? よし、いくぞ」
ロータスは、なぜか弓を構えた。
「ロータス、呪文を唱えるだけだから、弓は構えなくて良いと思うぞ」
グラナダの突っ込みに、ロータスは意表を突かれ、一瞬沈黙した。
「う、うるさいな。俺だって、それくらい気づいてるよ!」
「わかってるんだったら、さっさと呪文を唱えな。時間がないぞ」
二人の話に、誰かが割り込むように言った。暗いので、彼らがよく目を凝らしてみると、そこにはリタがいた。
「リタ! 今頃起きたのかよ。この寝坊助女砂龍!」
「なんで、来たんだよ。君は男爵の――」
「ああ、わかってるさ。男爵達が私を、自分達の下僕にしたがってるってことも、アズラ女王が《Q.A計画》を企ててるってこともね」
「《Q.A計画》? 何だそれ? その情報は、どこで手に入れたんだ?」
「男爵の手下の魔物達が、私に話してくれた。みんな素直で可愛かったね」
「『可愛かったね』って……。まあ、良いや。俺が呪文を――」
『こさたのはとらなびらに、はかのじなてゅもなんをとかなかえよ』。――扉には、平仮名ばかりが羅列してある。
「うーん、何だろう、この平仮名だらけの暗号は。俺にはさっぱりだ」
「……」
グラナダは、手探りで暗号を解こうとする。その瞬間、彼はある重大なヒントを見出した。
「ロータス。俺、この暗号が解けたぜ」
「何! 本当か? 早速、俺に教えてくれよ」
ロータスは、期待の眼差しでグラナダを見る。
「わかった、急かすな。これは《取り決め》って寸法だ」
「取り決め? 要らない文字をどんどん消していくのか?」
「そうさ。早速読むぜ。よく聞いとけよ。『……って、書いてあるんだ』」
グラナダは声を極端に小さくし、ロータスの耳元で言った。
「そうか。つまり、俺の出番ってことだな? よし、いくぞ」
ロータスは、なぜか弓を構えた。
「ロータス、呪文を唱えるだけだから、弓は構えなくて良いと思うぞ」
グラナダの突っ込みに、ロータスは意表を突かれ、一瞬沈黙した。
「う、うるさいな。俺だって、それくらい気づいてるよ!」
「わかってるんだったら、さっさと呪文を唱えな。時間がないぞ」
二人の話に、誰かが割り込むように言った。暗いので、彼らがよく目を凝らしてみると、そこにはリタがいた。
「リタ! 今頃起きたのかよ。この寝坊助女砂龍!」
「なんで、来たんだよ。君は男爵の――」
「ああ、わかってるさ。男爵達が私を、自分達の下僕にしたがってるってことも、アズラ女王が《Q.A計画》を企ててるってこともね」
「《Q.A計画》? 何だそれ? その情報は、どこで手に入れたんだ?」
「男爵の手下の魔物達が、私に話してくれた。みんな素直で可愛かったね」
「『可愛かったね』って……。まあ、良いや。俺が呪文を――」