ガルドラ龍神伝―外伝章―
「青年よ、リタに何をした?」


「安心しろ。死んではいない。あんたの可愛い娘を封印しろと、アノデュース帝王からのご命令でね。ついでに、あんたも封印しろとも、ご命令が下ってるのさ」


「何?」


王は驚きのあまり、それ以上の言葉が出なかった。


「もし、あなたが拒んだら、姫様の命はありませんよ」


青年は、妙に改まった口調で、王に言う。


「わかった。私もその≪人間界≫とやらに行こう。一人娘の命が助かるなら。ただし、条件がある」


王は、緑色の目でまっすぐ青年の顔を見つめ、冷静に話を進める。


「私をどうするかはお前達の勝手だが、リタは殺さないでくれ」


「なぜだ?」


「あの子は、次期王位継承者だ。将来は、私の後を継いで女王になる」


「なるほど。帝王が注目するのも、わかる気がする」


青年は独り言を言った。


彼はリタの時とは違い、布を使わず、ランディー王の腹を三発蹴って気絶させた。


彼が気絶したとわかると、青年はメダルに彼を封印した。


その後、どこかに電話をする。


「こちらエアーロイ。任務完了。ただいまより、帝国に戻ります」


「了解。よくやった、ハンター・エアーロイ」


謎の男性と連絡を取り、ハンターと呼ばれた青年は、静かに帰っていく。


城内には、王がいなくなった玉座、姫がいなくなった部屋、そして兵士達や国民達の石像だけが残る。
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