ガルドラ龍神伝―外伝章―
第一話:砂龍と水龍と人間と……
ここは人間界ゼテロイド。


この世界は、十二個の魔界に囲まれており、魔族達と仲良くなりたいと願う人間達が大勢暮らしている。


近年、その願いを叶えるかのように、新たに職業が増えた。


その職業の名を、≪サタン・サマナー≫と呼ぶ。


彼らは、≪サタン・アカデミー≫という養成学校で、自分の使い魔を操るための修行をし、卒業をして初めて仕事ができるようになる。


ある夕方、十二人の少年達と一人の少女が、自分の使い魔を召喚するための修行をしている。


「えー。今日はこれから君達に配る≪魔族召喚機≫から、使い魔を召喚するための修行を行う。機器の中には、既にメダルが入っている。呼ばれた子は、私の前で魔族を召喚するように」


女性の講師が、≪魔族召喚機≫という機器の説明をしている。


≪魔族召喚機≫とは、サタンサマナーの必須道具の一つである。


十二人の少年達のうち、黒髪の少年が箱を開けた。


「ちぇ、何だよ。俺がいつも赤い服を着てるからって、魔族召喚機まで赤にするなよな。先生達はこれだから……」


彼が呟いていると、友人らしき青い髪の少年が箱を開けながら、言った。


「まあまあ、わかりやすくて良いじゃないか。専用の色ってことで。トレードマークだと思えば」


青い髪の少年が取り出した本体の色は、九割が黒で、真ん中に青が混ざっているだけの、寂しげな物だった。


二人が本体を見せあいこしていると、講師が声をかける。


「これより、実践に移る。まずはスタンダードから」


スタンダードと呼ばれた黒髪の少年が、講師の前まで行く。


「頑張れよ、グラナダ」


「ああ、ありがとう、ミリフ」


グラナダは講師の前に立つと、魔族召喚機にメダルが入っているのを確かめてから、本体の蓋を閉めた。


(俺の使い魔は砂属性か。できれば、氷属性が良かったな)


グラナダは、言いたいことを心の中にしまった。


「魔族召喚!」


グラナダは、大袈裟に掛け声を発する。


するとメダルの中から、青い服を着ていて、四枚の羽が生えている龍の少女が、彼の前に現れた。


「君は……もしかして、ガルドラの砂龍族?」


グラナダの声に反応して、砂龍族の少女は振り向く。


「そうさ。私は砂龍族のリタ。あなたは?」


グラナダは、顔を赤くして、リタに自己紹介をした。
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