机の上で逢いましょう。

言葉一つ。

理科室の1番後ろ。
そして、窓側に近い風通しの良い席。



あたし、久保田江美は、そこである人と、"机の上"で言葉を交わした。


言葉を交わしたといっても、机にメッセージを書き、その返事をしただけ。

そして、『ポエム』をそえた。

"繰り返す出会いに
運命を見つけるのでしょう"


それが、ポエム好きなあたしとその人を繋ぐきっかけとなる。



『大丈夫。信じているよ』
その言葉が、机に書いてあった。

この人は、
ロマンチストだと思う。

中学にもなって、
"大丈夫"だとか、
"信じているよ"だとか、
そんな言葉、使わない。


そして、この人が書いた字体が、綺麗で可憐で、
女子が書いたかと思った。
だけど、男子だった。

それがわかったのは、
ポエムの右に、小さくかかれたコメント。

『俺は、誰かに信じてもらっているのだろうか』

"俺"という事は、男子。

その男子に、あたしは返事を、下に書いた。


『貴方も、誰かに信じてもらっているのです』


シャーペンの芯が
変に削れる。

でもそれは、理科室の机がザラザラだから、仕方ない。
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