【夢は追うもんだ、何が夢だ、夢があったっていいじゃないか、夢は平等だ】
みなさんにも夢があったりなかったりすると思いますが、やっぱり私にも夢はあったのです。
 私の初めての夢は小学生の時に生まれて、その年の間に呆気なく破れたのでした。
 ええ、そりゃあもうスッパリと。怪物に一呑みされたのです。
 
 私の学校にも、全国の流れから外れたマイノリティーを気取ることなく、『七不思議』というモノがありました。
 曰く音楽室のベートーベンの目が光る。二宮金次郎が走る。トイレの花子さん。13階段といったポピュラーで一笑に付されること請け合いなモノばかりでしたが、ただ一つだけ、
 
『学校の中には妖精が住んでいて、見たモノは願いが一つだけ叶えられる』
 
というオリジナリティがあるのかないのかよくわからない七不思議がありました。
 
 幼い私は身体が貧弱で、是非学校に住む素敵な妖精さんに身体を改造して貰おう、なんて思っていました。
 ……あっ笑いました?笑いましたよね?それは持つ者の奢りです。反省のあまり貧弱な精神になってみすぼらしい出で立ちになって頂きたい。
 
 つまりは私の夢というのは、
『妖精さんに出会う』
という文字にすると何とも痛々しいものだったわけです。
 
 そして私の妖精さんを捜す日々が始まりました。今思えば頭が可笑しかったとしか言いようがないですが、私は幼いなりに必死だったのです。
 誰が幼気な子供の夢を馬鹿にできるでしょう――少なくとも今の私は馬鹿にしていますが。
 
 しかし、どれだけ捜しても当然妖精さんは現れませんでした。
 私の捜し方が悪いのかと思い、コソコソと妖精さんに気付かれないよう隠れながら捜したり、捜してないフリをしながら捜したりしましたが結局ダメで、私はもうお手上げと言わんばかりに放課後の教室の机の上で唯々うなだれていました。
 夢が破れるとはこういうことか――そんな時に思わぬ救いの手が差し延べられたのです。

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