【夢は追うもんだ、何が夢だ、夢があったっていいじゃないか、夢は平等だ】
とりあえず中にはいってみました。鍵はかかっておらず、ラッキーラッキー。
 
 ぬっ……相変わらずコンビニのグラタンみたいな匂いです。あまり好きな匂いじゃないんですが……妖精さんも変な場所を好むのですね……で、悪魔ちゃん。妖精さんはふぇあいずいっと?
 
「そこの跳び箱の中にいたよ」
 
 なるほど……隠れんぼにはもってこいの場所ですからね。
……それでは、御対面といきましょうか!
 
 私はドキドキしながら跳び箱の一段目に手をかけました。
 
 さぁ妖精さん!私を規格違反のグレイトバディーにッ!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
………………………………。
 
………………えっと……悪魔ちゃん?
 
「なーに?」
 
 何もいないんですが?妖精さんどころか、虫すらいないんですが?
 
「だろうねぇ」
 
 だろうねぇって……あ、騙した?まさか騙したんですね?
 
「ううん。騙してないよ?」
 
 ……じゃあ何故いないんですか?出張ですか?んなバカな!
 
 狼狽するあまり思わず一人ツッコミをしてしまいました。しかしながら、混乱状態で泣きそうになってる私を尻目に、悪魔ちゃんは恐ろしいまでに端的な答を示してくれたのでした。
 私はこの瞬間を死んでも忘れないと思うわけですよ。それくらい衝撃的でしたよ。
 
 悪魔ちゃんは今までにみたことのないような極上の笑みを私に見せながらこう言いました。
 
「もう妖精はここにはいないよ。
だって――
 
 
 
 
 
 
 私が食べちゃったもん」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
――ああ、食べちゃったんだ。
 
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