【夢は追うもんだ、何が夢だ、夢があったっていいじゃないか、夢は平等だ】
私は「そっか」と呟き、「そっかそっか」と嘆き、悔しくなって「そっかそっかそっか」とホップステップジャンプみたいな軽快さで納得したフリをしながら猛ダッシュで泣きながら逃げ帰りました。
 
 
 こうして私の夢は化け物に喰われたのでした。
 
 そして十年以上の月日が流れ、今テレビで悪魔ちゃんを見ない日はなくなるくらいに世の中は変わりました。
 人気モデル。超美人女優。ハリウッドスター。
 今や悪魔ちゃんは日本を代表するエンジェル筆頭株主みたいな。まさに化け物。
 
 なんだかため息がでます。
 
 小学生の思い出を夢でみて目覚めた私には、これはもはや妖精さんの仕業としか思えないわけですよ。
 あの日、悪魔ちゃんが妖精さんを食べたなんて言わなければ、きっと私の人生は変わっていたに違いありません。相変わらず私の身体はミニチュアサイズですし……。
 
 今更嘆いても仕方のないことですが。
 
 ベッドから立ち上がろうとする私の腕に絡まるように抱き着く女性。
 
「ほしのくぅ~ん……」
 
なんて寝言を漏らす彼女は果たしてあの出来事を覚えているのでしょうか?
 
 私は時々彼女のお腹に耳を当てながら、「大丈夫ですか?」なんて声をかけるけど、すっかり溶けてしまったのか、はたまた最初から居なかったのか、返事は一度も返ってきません。
 
 私は、いつか彼女のお腹の中を切り開いてやろうなんて物騒な誓いをしながら、いつものように彼女に優しくキスをするのでした。
 
 悪魔ちゃん。朝ですよ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 この後、彼女に、
「実は、私のお腹の中に新しく妖精が生まれたの」
なんて衝撃告白を受けるわけですが、それはまた別のお話。
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