君に贈る
私は聞きたくなくて去ろうとした


「琉生が俺から奪った女だ」


思わず立ち止まる


私はゆっくり振り返る


「え?」


琉生が‥奪った?


「まだ中学んとき」


「‥」


悟は目を逸らして悲しそうな顔をした


私の頭は真っ白になった


「沙菜、そんな顔すんなよ」


「‥」


悟は私に近づいて両頬を包み込んだ


「もう過去のことだ‥今はお前だけだ」


「…」


「琉生は最近まで付き合ってたから知らないがな‥」


私は泣きそうになった


琉生は‥?


琉生は美里さんのこと‥


まだ過去にできてない?


「沙菜‥俺んとこ来いよ‥」


「‥」


私は悟を見た


悟はとても優しい顔で私を見ていた


「ん?」


「…」
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