君に贈る
中々決心つかなくて、車から出たのは3時間後だった


「琉生‥」


「大丈夫」


琉生の手をギュッと握る

















そして運命のとき


私は琉生の手を握ったまま先生と向かい合っていた


「おめでとう、ご懐妊ですよ」


嬉しそうな先生に対し私は複雑で


妊娠してませんって言ってほしかった‥


「こちら胎嚢です。わかりますか?心音も微かですが確認できました」


そんな‥


「旦那様にお願いですが、妊娠初期というのは―――――――――――」


何も聞きたくない


何も考えたくない


嘘だって言って‥


病院を出て琉生の車で家に帰る


「…」


「沙菜、俺の子だよ」


「っ‥」


私は琉生を見た


「沙菜は俺しか抱いてない」


「っ」


琉生の言葉に泣きそうになる
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