君に贈る
小さなテーブルの前に座る


お母さんは暖かいお茶を出してくれた


「沙菜、2股はよくないわ」


そう言って私たちの向かいに座った


もしかして‥


「それに、もう一人の男性の子を身篭ってるんだから」


「っ‥お母さん「この人とは別れなさい」


「すみません、言い遅れました。桐谷琉生です。話を聞いてもらえませんか?」


「聞く必要はないわ。申し訳ないけど、この子と別れて」


「お母さんっ!」


お母さんはそれ以上聞く気はないような態度でテレビをつけた


「お母さん、私は琉生と結婚するから」


「ダメよ」


「父さんは許してくれた」


「あの人はバカだからでしょ」


「「っ」」


私はこれ以上無理だと思い琉生の手を引いて立ち上がった


「琉生、帰ろう」


「沙菜、待って」


琉生は座り直しお母さんに向かって言った


「沙菜さんは二股かけるような女性ではありません。では、失礼します」


琉生は私の肩を抱き玄関に向かう


私は悲しそうなお母さんの横顔を見て家を出た


帰りの車内はお互い無言だった


お母さんは曲がったことが大嫌いな人だから‥


いつも世間体を気にするし、プライドも高い


いつも高い服や靴、化粧品やバッグを買う


でも生活費はとことん削る人
< 172 / 418 >

この作品をシェア

pagetop