君に贈る
「それで沙菜のお父さんは結婚を許してくれたけど、沙菜のお母さんは‥」


「そう‥すぐには受け入れられないわよ。きっといつかわかってくれるわ」


「あぁ」


正直何とも言えない


沙菜のお母さんは結構頑固そうな感じがした


認めてくれるにしても、時間がかかりそうだ


でもお腹の子の成長は止められない


沙菜は今にも泣きそうな顔をしていた


「沙菜、メシ食ってくか」


「そうよ。一緒に食べましょう」


母さんはキッチンへ走って行く


「沙菜さん、父さんたちも反対されてたんだ。でもこうして結婚して琉生ができて、幸せに暮らしてる。だからきっと大丈夫だよ」


「はい‥」


黙っていた父さんが沙菜に優しい言葉をかける


「父さん、どうやって認めてもらった?」


「ははっ恥ずかしい話だが、駆け落ちみたいなもんだな」


「えっ?」


父さんは頭を掻きながら目を逸らした


「母さんのお父さんだけが反対していた。でも母さんは気にせず『結婚しましょ』って言いだしてな」


あぁ‥そんな感じするわ‥確かに


で?俺にもそうしろと?


まぁ‥それも有りか?


いや、ないか‥


沙菜がそういうこと‥


「琉生、私たちもそうしよう」


「おい‥」


そうするのかよ!
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