君に贈る
琉生はほぼ毎日お母さんに会いに行った


一人で行くときもしばしば


でもお母さんはそっぽ向いたままだった


私はそんなお母さんにイライラしていた


どうしてわかってくれないの?


私の幸せはお母さんの何?


「沙菜、大丈夫だから、な?」


琉生はそう言って頭を撫でてくれる


「琉生‥「沙菜の気持ちはわかってるから」


毎日のように聞く言葉


本当にわかってる‥?


私は今お母さんにわかってもらえなくても、子供ができたらきっとわかってくれると思う


だから今は‥


琉生は仕事だって忙しいのに‥


時間の合間を縫ってお母さんに会いに行く琉生を見てられない


どうしたらお母さんはわかってくれるんだろう


そればっかり思ってるとイライラしてしまう


お母さんに会うとイライラをぶつけてしまう


はぁ‥


私は大きなため息をついてソファに座った


そんなある日だった


お母さんから電話が鳴った


「もしもし」


「沙菜、今からうち来なさい」


「うん」


私は支度して家を出た
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