君に贈る
看護師の切迫した声が響く


「――――裕、二十歳の男性、血圧――――」


えっ‥


今何て?


「愛理ちゃん?」


気のせいだよね


「何?」


「‥いや。じゃあ、またね」


私は適当に手を振って男を見送った


ユウって‥裕じゃないよね?


数十分後、またドアがノックされる


私はじっとドアを見つめた


「愛理ちゃん」


何しに戻ってきた孝雄‥


「何?」


「さっき運ばれたユウって子、亡くなったよ‥」


「っ!?」


「知り合いなの?」


私は目を逸らした


「知らない」


「‥そう。じゃあ、またね」


そう言って出て行った孝雄


何が言いたかったわけ?


‥裕じゃないでしょ?
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